ビジネスマンの父より息子への30通の手紙
- 作者: G.キングスレイウォード,G.Kingsley Ward,城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/04/01
- メディア: 文庫
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[内容]
父親が自分と同じ実業を目指す息子に、実際に宛てた30通の手紙。
[感想]
こんな父親がいたら、すごく頼もしいだろうな。父親って、いつまでも超えることのできない存在のように思える。自分が就職活動をしていて思うのは、父親がたどった路を教えてもらうことで、自分はゼロからやり直さなくとも、父の築いた路の続きから歩くことができるということだ。もちろん、人脈だとか資産だとか、そんなことじゃなく、知識・考え方だとかそういう間接的な意味でね。父は偉大だ。
[概要]
実社会に出発する君へ
常識、責任が実業界での最良の武器
努力をどのように成功に結びつけるか。
1通 あえて挑戦を
常識という基準が、無意味な挑戦と意味のある挑戦をわける。
勝っても負けても、試みることによって、それだけ成長できる。
2通 教育の設計
制度に不満を言うよりも、制度を巧みに出し抜いてやるといい!
今後十年間の訓練計画をすぐにでも綿密に立てるといい。
毎年一つずつ新しい学問をはじめる。
「読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」
20−30歳は学ぶ期間として、最も重要。
学問を中断しての旅を考えている学生のほとんどは怠け者。
3通 成功について
競争に勝つのは、必ずしも動きの早い人ではない。勝つのは過去の競争から学んで、その教訓を生かす人。
道徳心、熱意、勤勉さ、そして責任感は、毎日日常の中で保たなければならない。
4通 惰性的な生き方には
川の上で急速をとるときには、流れを避けて、注意深く場所を選ぶ。
5通 実社会での最初の日々
サービスが肝心。
しばらくは、足音を立てないように歩くこと。
仕事に喜びを見出すためには、適正、やりすぎない、達成感。
6通 誠実さの代価
他人を信用しなければならないときには、多少の知識、いわつる安全装置が必要。
・知らないひとについては、その背景を知るべき。
・サービスを個人的なレベルで売り込む
・人生のこの段階では、すべての試みを経験とみなすべき。
・真実を語らなかったと、決して人に言われないようにする。
7通 企業家とは何か
企業家とは偉大な想像力の持ち主。
人間性の偉大な観察者、研究者。
8通 経験の重みに代えて
経験不足を自覚している人は、まず、このかけている要素によって、目的達成の試みを抑制、あるいは阻止されるつもりはない、と決意する必要がある。
次に、与えられた課題を念入りに査定するための時間を惜しまない。
80%の人が、データ不足というより、データの間違った解釈によって、意思決定の間違いを犯す。
解釈には、勘であっさり片付けるより、入念に思慮深く分析する方が、早く、高度に熟達する。
9通 部下との衝突
私たちが他人について「型破りな」性格というときは、たいていの場合、異なる見方や考え方でしかない。
他人の迷惑になるほど不愉快な、あるいは異常な癖でなければ会社を辞めさせる理由にはならない。
部下の効率を取り戻すため、1時間でできることの大きさ。
君の1時間と部下の1時間は50ドルに相当、新たな人材を訓練するには5000ドル必要。
部下は貴重品。
10通 共同事業への誘惑
儲け話になると、肯定的な面は30分で全てあげられるが、否定的な面は見落とし、しばしば長年悔やむ。
新しい事業を思いつくと、実に巧みに製造・販売の問題を解決するが、資金の問題で頭が凍結する。
人の記憶は薄れやすい。会社を発足させた君の資金面での貢献が、いつまでも深い感謝の念と共に思い出されることはない。
共同経営者と全ての否定的な面について話し合うべき。
11通 結婚を気軽に考えないで
もし魅力的で、気品があって、頭が良かったら、あとは多少の欠点は多めに見るように。
12通 事業を拡大する上で重要なこと
大規模な事業の拡大は常に、ほとんど最初からやり直すようなもの。
13通 金銭感覚はどうなっているのか
会社の繁栄ぶりを示すことは大切だが、贅沢に見えたり。金を浪費する愚か者に見えたりしてはいけない。
正直で、地道な人たちが、純粋な友情を君に誤解されることを恐れて、控えめに距離を保っているのを見過ごすことのないように。
金をせがまれて貸せば友人はなくす。
もし友人の窮乏を知って援助が必要だと思ったら、自分から申し出る方がずっといい。
どちらかといえば金持ちのほうがいい。
金は上手に扱えば、人生の喜びは大きくなる。
賢い人は金持ちになれるが、人は金持ちになると愚かになることが多い。
金は使って楽しむべきもので、溜め込むものではない。
14通 講演は自信を持って
息継ぎの技術。
両手を書見代の両端にしっかり乗せると、緊張は取れる。
決して聴衆を見下さない。
講演がうまくいくには、努力と準備の量。
15通 礼儀正しさにまさる攻撃はない
知識の次の武器はマナー。ただ、まわりの人々に対する心遣い。
よくある無作法は人の話をさえぎること。
話題がひとつ、「私」に限られている人も多い。
三つの身体的習癖:握力が強い、眼を見ているか、姿勢がいいか。
16通 銀行融資をとりつけるには
会社の買収に夢中になって、銀行の重要性を過小評価したのではないか。
銀行に好意的に検討してもらうには、提出書類を作成するときに、「連中が乗り気になることは決してない!」と覚悟してかかること。
17通 政府の検査官について
一般の通念に反して、政府は常識の通じるところである。
正義は力なり、だが、戦わないものには勝利はない。
18通 多角経営は会社を安定させるか
事業投資には、資金面の裏づけ、経営に必要な人材がいるか。
多角経営の利点:最初の事業の失敗に備えて。ひとつの事業の成長には時間がかかり、仕事が足りない。
ある種の事業で成功したからといって、他事業で成功するとは限らない。
いつでも経費を切り詰めて、逃げる準備をしておくこと。
会社を育てるときに、資金や人的資源に無理がかからないように。
多角化は基礎業界からの逸脱ではない。
会社を買うのでなく、その会社の経営法を知っている人材を買い入れる。
19通 読書の価値
他人の過ちから学べ。
他人と異なることは成功の必要条件のひとつだが、それを試みる人は少ない。
20通 効率的な管理とはなにか?
問題を認めること、失敗を認めること。
チームワークである。
聞き手がとりわけ強い関心を示す問題について、意見を求められることほど、人に誇りを感じさせるものはない。
21通 人生の幸福とは
君の心を育てるのは君だけ。
人生の問題に挑戦する自由があることを知り、それを行使すれば、人生の幸福を勝ち取る勝算は大きい。
人生の合言葉は決断。
幸福は何かをすること。
身の上話でなく、心の持ち方で決まる。
22通 社員を解雇するとき
決意にいたった理由と、他の人が長期的に恩恵を受ける理由を、言葉少なく、静かに説明する。
23通 友情は手入れしよう
最も緊密で貴重な友情は常に育み、温める必要がある。
自分に及ばない友人は持たない。
親友は君の成功を、嫉妬心を交えないで喜べる人。
友情には手入れが必要。
24通 批判は効果的に
聞く価値のある批判は10%程度。
秘訣は、すぐさま批判者を評価すること。
批判はなるべく役に立つ、建設的なものにする。
慎重に言葉を選べば、批判の有害な部分は押さえられる。
毎日評価する方がいい。
25通 自分の財布の管理も計画的に
税引き前の給与はさっぱり忘れる。
必ず普通終身保険を選ぶ。
26通 常に備えよ
固定費を見直して、何であれ、実行が可能な限り削減する。
資金を調達できるように、無理な借り入れはしない。
27通 ストレスと健康
様々なリラックス方法:超越的な瞑想、バイオフィードバック、筋肉の弛緩、自己催眠など。
29通 生活のバランスを保とう
優れた組織には、あらゆる部門に優れた人材を配置。
有能なナンバーワンは視野が広い。
生活のバランスを保っている経営者を打ち負かすことは難しい。
成功者は、たいていの問題について知的な会話ができ、友達を持ち、心身健康、あらゆる面で中庸。