臨3311に乗れ

臨3311に乗れ (集英社文庫)

臨3311に乗れ (集英社文庫)



[内容]

近畿日本ツーリスト創立者の一人である馬場を主人公に、資産ゼロからアイデア、熱意で大企業へ成長していく姿を描く。



[感想]

馬場の何がすごかったのか?目の前にある問題を解決する熱意とアイディアなら戦後のビジネスマンは多くが持っていただろう。もちろん馬場の熱意やアイデアはレベルが高かっただろう。しかし、それにも増して時代の先を見通す眼は次元が違う話だ。修学旅行生専用の臨時線を出す。ただの代理店を目指すのでなく、総合娯楽を目指す。航空の時代が来ると見越して、航空事業を残す。他企業に先んじてコンピュータを導入する。自社だけでなく、鉄道、旅館まで全てオンライン予約を可能にする。こうした時代の先を見越したアイディアに、人生の全てをささげるパッションが加わって馬場は小さな会社を大企業まで押し上げたのだと思う。

それにしても、子供も作らないで、嫁にも働かせて、死ぬまで仕事を続けるだけの熱意というか一途さというか、猪突猛進具合というか、こういうのは現代ではなかなか生まれないんじゃないかな?家族、友人、持てるコネは全て使い、寝る間も惜しんで、人間らしい生活も捨てて仕事に打ち込む。俺はこんだけ一つのことに打ち込めるかどうか自信がないし、打ち込むだけの勇気もなかなか持てないな。けど、できれば俺も化学!で新しいビジネスを切り開くビジネスマンになりたい。馬場と違うのは旅行でなく化学、舞台は日本じゃなく世界だ!がんばらねば。