コンサルタントの「質問力」

コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)

コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)



[内容]

コンサルタントが仕事をするにはインタビューが欠かせない。質問力には様々なな能力が必要になる。質問力の必要性とそれを構成する能力を解説。



[感想]

本の構成が悪い。「質問するにはこういう力が必要です」という記述と、「こういう力があればいい質問ができます」という記述がごちゃまぜになっていて、なんだか腑に落ちない。たとえば、「質問するには仮説力が必要です」という記述の後には、「仮説力を鍛えるにはこういう訓練が必要です」という記述がくるべきだが、「仮説力があればいい質問ができます」という記述があるのだ。つまり、質問に必要な能力を解説しなきゃいけないのに、ただ分類するだけで、内容についてはほとんど記述がない。こういう本はよくないなぁ〜・・・

ただ、分類するだけでも、こういった能力が必要だと意識することはできるので、そういう意味での効果はあると思う。インターンシップ中にも現場の人にインタビュー(質問)する機会があったが、こういうことを意識して質問できていたらもっと充実した内容になっていたかなぁ・・・



[概要]

質問力には様々な要素が凝縮されている。

コミットメントを深めるには質問力が不可欠

質問力により、状況把握が明確になり、その手段もシャープになる。



質問力のある人(ビジネスパーソン

1.聞く態度を身につけている

    質問とうなずきが話し手に安心感を与える

2.鋭い質問で相手を感動させる

    質問によって、質問者の深さが測られる

3.事実を使って全体像を示す

    事実をもとにうまく全体→部分、部分→全体の組み合わせで質問し、自覚を促し、現実を納得させる

4.相手を積極的に自己開示させる力を持っている

    共感し、納得し、一緒に少しずつ上がっていく

5.物語を聴く力を持っている

6.空気を読むのがうまい



さらに、コンサルタントに必要な質問力

1.仮説力

    仮説をもとにした深い質問をして、人に考えさせる力

2.本質力

    場を「見える化」し、「論理的に整理」し、内容を「絞り込み」し、最終的に「ワンメッセージ」に凝縮する力

3.シナリオ力

    質問プロセスのシナリオをデザインできる力

    頭の中のフレーム(枠組み)にブレがなく、返事を整理して理解し、会話がを適切に軌道修正できる力



1.仮説力

仮説のない仕事は行き当たりばったりになってしまう

仮説検証型経営では、過去〜現在軸から未来軸の仮説を考え、検証していく

仮説には事前リサーチが必要

    セカンダリ−データ(新聞や論文などの公開情報)の収集を中心に行う

    目標を明確にしてからプライマリーデータ(自分で調査し収集したデータ)を収集する

質問ツリー(ボトムアップ型とブレイクダウン型)を用いる(MECEなツリー)

質問ツリーを作ってからインタビューに挑む

    ボトムアップ型で目的を明らかにし、ブレイクダウン型で質問内容を整理する

    インタビュー中に書き換えていく(状況認識は最初の1分が重要/ゼロベースで考え直す)

呼び水の質問をする(傾聴/共感、幽体離脱

    まず具体的な質問やクローズド・クエスチョンから始める

    意識が明確されていったら、抽象的な質問を投げかける

    抽象的な質問から始める時は、自分のレベルを示す必要がある

コミットメント(当事者意識)を示す

    なにを聴くか、と共に、どんな思いを持って聞くか、が重要

    相手のコミットメントを引き出すには、喧嘩も辞さない覚悟が必要

    覚悟を促す質問をする



2.本質力

「うなずき」と「まとめる力」



まとめる力

1.リピートと言い換え

2.組み合わせてまとめる

    最初は矛盾含みだった相手の思いつきプランがより本質へ近づく



「鳥の目」と「虫の目」を自在に繰り返す

    具体策と全体像をどちらも見る

    現場の人には、具体的質問→抽象度を上げる

    トップの人には、抽象度の高い質問→本質かどうかを個別事象に落とし込んで検証

相手の答えに対し、「なぜですか」と突っ込んでいく

ワンメッセージにまとめる

    文脈を凝縮して話す能力を磨くことは、文脈を凝縮して質問する能力を磨くことにもつながる

接続詞を使う

    接続詞でつながらなければ、論理がうまく構成できていないということ

    本質のみで構成されたプレゼンは接続詞でつなぐことができる



3.シナリオ力

フレームワークを頭に浮かべながら次の質問を考える

「長いシナリオ」でインタビューの大きな流れを読みながら、「短いシナリオ」でフレームワークを頭に描く

次の質問が浮かばない原因

    1.質問の仕方が悪い―話が広がらない質問

    2.聴き方の問題―シナリオを広く力



シナリオ力のある質問

1.質問のセオリーは積み上げ方式

2.質問ツリーの会談を縦横無尽に行き来する

    全体でのポジションを意識する

3.抽象的な語りを具体的な語りに落とす

4.軸をずらし軌道修正を図る



ストーリーテリングの基本思想を、インタビューのシナリオの中に取り入れる