問題解決プロフェッショナル
- 作者: 齋藤嘉則,グロービス
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1997/01/01
- メディア: 単行本
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[内容]
ビジネスのあらゆる場面で必要になる問題解決に必要な、思考法と技術の基本、そして実践例。
[感想]
説明と説明の間にちょくちょく実践例が入っていて、すこし話の流れが悪くなっている気がする。たまに例か説明なのか分かりにくい。それ以外は良かった。
なかなか、問題解決、といった抽象的な課題に対して、こういう方法論的なものを意識することはできないから、こういう本などで学ぶことは非常に重要だな。インターンでお世話になった社会人の方に教えてもらったこと(80:20の法則)とかが出てきて驚いた。やっぱり社会人はみんなこういうことを意識しながらやってるんだな。おれもこういうことを、自然に使って仕事できるようになりたいな。
例えば、この問題解決の方法を研究に適用できないかな?と思ったけど、本文中にもあるように、ビジネスと学問は必要とされるものが違う。決定的に違うのは、ビジネスにはスピードが要求されるってことですね。おれはスピードが必要なビジネスの方がいいな。
[概要]
思考編 ゼロベース思考・仮説思考
外から見ると分かることが中からだと気付かない・変えられないことが非常に多い。
<ゼロベース思考>のポイント
・自分の狭い枠の中で否定に走らない
ポジティブに、具体策があるという前提で考える
・顧客にとっての価値を考える
大企業ほど消費者との距離が離れ、難しくなる
<仮説思考のポイント>
・アクションに結びつく結論を常に持つ―結論の仮説
・結論を導く背後の理由やメカニズムを考える―理由の仮説
・「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する―スピードを重視
SO WHAT?を繰り返し、具体的な行動まで落とし込む。
多少的をはずしても、常に行動に結びつく結論を持つよう心がける。
単なる状況解説はビジネスでは意味を持たない。
3段論法ではなく、最初に結論を出す。
仮説の枠組みが大事。推定の自信がないところから検証していけばよい。
そうすれば、分析とアクションを同時並行で進められる。
ベター案を否定する人には、より良い案を出してもらえばよい。
ベター案を考えるとき、情報収集に時間をかけすぎるな。
ビジネスの仮説思考は科学とは集める情報量が異なる。
ビジネスは状況が逐一変化する。
6割レベルの情報でとりあえず方向性を判断すべし。
技術編 MECE・ロジックツリー
<MECE>=モレなしかつダブりなし
1.モレによって的をはずしていないか?
<ゼロベース思考>で全体を捉えることから始める
こんな場合:既存の枠へのこだわり、細かい点を網羅していて満足してしまう、切り口が違う場合
2.ダブリによって効率を阻害していないか?
こんな場合:習慣的にダブり、意図的に強化するためダブリ、違う切り口でダブってないと思った
3.<MECE>でとらえ、最後に優先順位をつけているか?
全てをカバーするのは、何もしていないのと同じ
戦略の目的は効率的な経営資源の配分
フレームワーク=<MECE>の応用
・3C+1C
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)、流通チャネル(Channel)
自社の強みは忘れやすい。
顧客にとっての価値を考え抜き、強みを生かして資源配分にメリハリを
・ビジネスシステム
研究→開発→調達→生産→広告・宣伝→流通→販売→保守・サービス×自社と競合のマトリックス
・マーケティングの4P
Produce、Price、Place、Promotion
・事業ポートフォリオ
X軸=相対マーケットシェア、Y軸=市場成長率 (X軸とY軸は独立になるように)
(高・高)=スター、(高・低)=金のなる木、(低・高)=問題児、(低・低)=負け犬
これらのフレームワークは最初は紙に書いて訓練すべし。
<ロジックツリー>
問題の原因を深堀り、解決策を具体化するときに、広がりと深さを追求する技術
主要課題の原因や解決策を<MECE>でツリー状に分解・整理する。
・モレやダブリを未然にチェックできる
・原因・解決策を具体的に落とし込める
・各内容の因果関係を明らかにできる
原因究明
WHY?を自問自答しつづける。
広さがないと的外れ、深さがないと行動に反映できない
解決策の具体化
的をはずさないこと、すぐ行動できる具体性
SO HOW?を繰り返して深める。
深められた具体策がロジックの糸で繋がっている限り、実行すれば問題解決に結びつく。
WHY?の裏返しでは出てこないアイデアもSO HOW?で出てくることもある。
最初は難しいが、優秀な人を集めてブレスト。試行錯誤を繰り返す。
解決策の優先順位は<ゼロベース思考>の顧客にとっての価値を考える。
ロジックツリーの作り方
・各レベルができるだけ<MECE>か?
・ツリーの右側が具体的な原因や解決策になっているか?
・ロジックツリーで主要課題に繋がっているか?
モレがありそうなら、『その他??』と書いておく。最後に他の人にチェックしてもらう。
プロセス編 ソリューション・システム
3つのステップ=1.課題の設定+2.解決策の仮説+3.解決策の検証・評価
1-1.主要課題の設定
3C(Costomer、Company、Competitor)を使って比較、主要課題を抽出
自社:達成目標とのギャップ
競合:競合の優れた点とのギャップ
顧客:自社の商品・サービスに満足か?
1-2.個別課題の設定
主要課題をブレークダウン
・<MECE><ロジックツリー>を使って独自のフレームワークを作る
・背後のメカニズムを的確に捕らえる
2-1.個別解決策はコントロール可能か
まず、個別問題の個別解決策を<ゼロベース思考><仮説思考>で考え抜く。
それを、自社/字部門/自分でコントロール可能かのYES/NOで答えを出す。
YES→HOW?、NO→WHY?を出す。
HOW?が具体策にならない場合は、個別課題の分析が曖昧か、ロジックツリーの詰めが甘い
2-2.全体の資源配分を考えて総合解決策
個別解決策を組み合わせて総合解決策を作る(個別の整合性をチェック)。
コントロール可能な具体的解決策があれば、総合解決策は『YES』になる。
3-1.個別解決策の検証
ファクトベースでチェックする。精度のレベルは解決策の内容による。
とにかく、スピードと効率性を重視(各種分析のフレームワークやツール類を利用する)。
3-2.総合解決策の評価
ハードとソフトの両面から判断する。
・ハード面
期待成果:効果を売り上げ、利益、成長性から評価
投入資源:ヒト・モノ・カネの資源量評価
リスク:市場や競合関係のリスク評価
展開スピード:成功効果を早く出すための早期立ち上げスピード評価
・ソフト面
企業スタイル・理念との整合性
トップのコミットメント(責任/決意)の確認
リーダーシップのある実務レベルの推進者の有無
<ソリューション・システム>シートを使う
必ず一枚に簡潔にまとめ、全体を見渡せるようにしておく。
軌道周囲が容易になり、大きく的をはずさない&ベター案を必ず発見できる
ワンポイント・レッスン
1.チャートやグラフで経営を考える癖をつける
X軸、Y軸の意味を考え、そこから得られる仮説をよく考える
2.シェア分析
問題は市場のカバー率か、それとも競合とバッティングしたときの総合力の差か
3.パレート分析:「20:80ルール」
とりあえず、ハイ・パフォーマンス・グループとロー・パフォーマンス・グループに分けて考える
4.問題解決のためのインタビューのコツ
ソリューション・システムのどこのステップに必要なインタビューかを明確にし、適切なインタビュー先を選定
終了後はそこから出る意味(SO WHAT?)をとにかくその日のうちにまとめておく
5.CS・CE分析
顧客にとっての価値を高めているか?
自社のサービス・商品の現在のCS(顧客満足度)と将来へのCS(顧客期待度)を
競合品との比較も含め、定量的に決定する。
結果を2×2のマトリックスに落とし、打ち手の優先順位を決定する。
6.付加価値分析
ビジネス・システムにおいて、どこが付加価値向上の問題となっているか?
7.価値分析
価格弾性曲線とマークアップ方式
値ごろ感という推定の価格断定曲線を頭に描きながら価格決定する。
そして、市場優先率や値上げ、利益を検討(マークアップ方式)して最終決定。
・ポジティブな姿勢で問題解決に望むべし(批評家とは違う)
・広い枠を持て(同上)
・情報収集と分析は違う
・交渉はトップダウン(取締役に直接電話)
・セルフ・マネジメント、ボス・マネジメントも大事な仕事の一つ